技 編
こんばんは。筆者のクスノキです、今回の記事内容はザックセイバーJrにスポットを当てた内容にしたいと考えています。
2018年のNJC覇者、そしてNJC2019では大本命の1人だった飯伏を撃破し話題を振りまいた男。更には、迫るMSGにおいてもエース棚橋とのベルトをかけた試合が組まれ、彼のプロレスラーとしての格は昇り調子です。
2017年から本格的に新日本プロレス参戦を果たしている選手ではありますが、“ザックセイバーJrという選手そのものについて実はそこまでよく知らないけれど、体型も試合内容も他の新日選手とは大きく違うからなぜか目が離せない!”という方々は以外に多いのではないでしょうか?
ザックセイバーJrというレスラーの全貌を、私の非力な筆力を絞り出して少しでも明かしてみたいと思います。読む人によっては、もうそんな事知ってるよ!とい方々も多いかもしれません、ですがこうして活字として改めて読めばザック選手への感情移入という部分はプラスアルファされるというもの。
彼をよく知らない人もよく知る人も、ぜひ楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。
関節技を主体とし、そのスタイルが独自の個性そのものとなっているザックセイバーJr。
彼の魅力に改めて迫ってみたいと思います。現在進行形のザックセイバーJrという物語、ザック・ストーリーの中身を覗いてみましょう。
イギリス出身のザック、現在31歳。
幼少期からイギリスの古きテクニシャン型レスラー達の映像を目にし、80~70年代頃の技巧派レスラーの影響を多大に受けており、そこから現在の彼をそのまま繋げて形作られているようです。もちろんザック自身のオリジナルをミックスさせたものとして。
若干14歳で地元団体NWA UKハンマーロックのジムに入門し(あのプリンス・デヴィットも輩出している)、16歳で同団体よりプロレスデビューします。プロレスのキャリアスタートは非常に早い選手と言えるでしょう。
デビューした年は2014年、それからわずか2年後には同団体が活動停止状態に。
そこでザックはドイツやスペインへと自身のプロレス活動を移すのですが、その時にプロレスリング・ノアの潮崎豪選手と対戦する機会がありました。
これがきっかけとして、ザックはプロレスリング・ノアからのオファーを定期的に得るようになります。ザックは新日本プロレスに参戦するよりもずっと前に、日本国内の団体には既に参戦経験があったわけです。
現在新日本プロレスで活躍している元ノアの選手である金丸選手(鈴木軍)や石森選手(バレットクラブ)とは、過去にノアの戦場でベルトをかけての対戦経験もありました。面白いものです、この事からも分かるように、現在の新日本に存在する各ユニットには他団体での過去の繋がりを持つ選手が点在しているのです。バラエティ豊かと言わざるを得ません。
話を戻しましょう、2006年から2011年7月までの期間においては、ヨーロッパの団体所属でありながらも定期的なノアからのオファーがあり短期的な参戦を幾度か繰り返していましたが、2011年7月頃からはノアの合宿所に入る事に。
2014年頃にはノアの常連外国人として活躍を広め、その名を順々に高めていくのです。
さてここで。ザック・セイバーJrがリング上で表現する『スタイル』について触れましょう。
ザックのプロレススタイルはいわゆるキャッチ・アズ・キャッチ・キャン(cacc)という属種になります。
このキャッチ・アズ・キャッチ・キャンとは、主に関節技や絞め技を主体とし、現代における魅せるプロレスとは違い一見地味な攻防を使った試合光景に観てしまいがちですが、それはまさに人間の肉体が絡み合う中で、刹那に近い様な危険で冷徹な攻防と緻密な思考ロジックを要する見応えのある戦いであると言って過言ではありません。
これは一概に言うべき論点ではないと先に断っておきますが、時に相手の受け身前提で無理矢理成立させようとしてしまう派手な飛び技や危険な投げ技とは違い、肉体へのダメージによる流れというものがしっかりと成立している攻防がCACCには見て取れると感じる人も多いのではないでしょうか。
そもそもこのキャッチ・アズ・キャッチ・キャン、意訳としてはどういった言葉になるか。これは意味としては「掴まえられるものなら掴まえてみろ」「やれるものならやってみろ」といったニュアンスになるとか。
しかし実はこの言葉はイギリスのランカシャー地方の方言によるもので、CACCはこのランカシャー地方でのレスリング流派「ランカシャースタイル」を原型としているとされています。なので、ザックの試合中、解説席から「ランカシャースタイル」というワードが出るのはこの為です。
ではランカシャースタイルとは?
12世紀以降、イギリスはレスリングが盛んになるわけですが、まさに伝統競技としてのレスリングの原型なる形がその時はたくさんあったという捉え方です。
そしてその中の一つとして、イングランド北部ランカシャー地方で発達した流派がそのランカシャースタイルとなり、他の流派が危険な関節技の禁止などを経て廃れていく中で、ランカシャースタイルは残っていった、となるわけですね。
説明ばかりが続いてしまって恐縮ですが、ザックセイバJrのルーツを少しでも知ろうとするなら仕方が無い事です。ザックがこういった伝統的なバックボーンを背負った誇り高い選手である事の裏付けになりますから、ここは欠かせない説明です。
ザックセイバーJrの技に注目をしてみます。
難解な関節技を駆使するザックですが、オリジナルの動きもあるとはいえ、もちろん影響を受けている選手は何人も居ます。例えば1人挙げてみるならば、Jim Breaks
70年代にはヨーロッパで特に活躍した古豪のテクニシャンですが、このジム・ブレイクスの試合内容もまさにランカシャースタイル。
打撃・投げ技・飛び技などはほとんど無く、試合展開の約9割がサブミッション(関節技や絞め技)によるもの。試合時間も特に短くない20分位の時でさえひたすら攻防はサブミッションに特化していました。
とは言いつつ、この時代のヨーロッパのプロレスは、こういった試合は珍しくなかったようです。
ジム・ブレイクスの名をなぜここで挙げたか、実はザックは自身の必殺技においてジムの名をそのまま使っている技があります。
それがこのジム・ブレイクス・アームバー
恐ろしいですね、一見マンガでしか目にする事が無いような架空の技に見えてしまう光景ですが、細見で手足が長いザックにおいてはむしろ息を飲む様にして見入ってしまう説得力。
現実感のある技、それは痛みがストレートに伝わってくるような直観的な視覚要素がなければならない。もっとシンプルに説くならば、“あぁ、もうこれ逃げられないじゃん、ダメだこりゃ”というインパクトがそこにはあるという事でしょうね。
そのインパクト繋がりでもう一つ。
この技も視覚的なパワーも抜群ですし、何よりも技をかけているザックの技量の高さを見せつけられる圧倒感が素晴らしい。要は複合技なのですが、これはもはやザックのオリジナル技として捉えても構わないでしょう。
筋肉によるパワー要素、すなわち肉体的視覚においてはどのレスラーよりも見劣りをしいられるザックであるにも関わらず、これで決着!という圧倒感を出せるのは一体なぜでしょうか?
オリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デス
画像を見るだけでその答えは分かってしまう。
文字通り一目瞭然、となるわけです。こういったザックのオリジナルも含めますが、ランカシャースタイルは他の新日本レスラーにも影響を与えました。そう、あの男にも・・・。
2015年、ザックはプロレスリング・ノアを離れます。欧米へとその身を移すわけですが、なんとこの翌年、ザックセイバーにとっての大きな出来事が2つも起こるのです。
WWEへの参戦!? 憧れのあの男との遭遇??
残念ながら今回はここでお時間です。次回の記事ではこの続きを書いていきます。
次の記事でもまた更にザックの魅力に触れていきます。
次回は遭遇 編です。
ここまでお読み頂き本当にありがとうございます。
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