『新日学園 内藤哲也物語』本は史実通り
購入してしまいました。
タイトルに物語という文字が入っている以上、買わないわけにはいきませんでした。内藤哲也物語、、、ん??物語!?
そのワードが目に入ってしまっては読まないわけにはいかないです。
当ブログの表題として物語という軸を謳っておりますので、これは無視できなかった・・・。仕方がありませんでした。
封を切るとそこにはあまりにも可愛らしく描かれた内藤哲也のキャラがどで~んと大きく描かれていました。びっくり仰天です。
内容に関しては、舞台は新日本学園といういわゆる学園ものに設定しているだけで基本的には新日本プロレスのここ数年の流れをそのままストーリーの進行として描かれています。
主人公はタイトル通り内藤哲也です
従ってストーリーも内藤視点、内藤を軸としています。登場してくる新日本レスラー達がいちいちキュートなのがほんの少し気になりますが、学園モノですのでそれは致し方ない。
特に高橋ヒロムに関してはもはやそのままマスコット人形として欲しい位のデフォルメ感が凄い。作者の方の新日本レスラー達に対する愛情を非常に感じ取れました。
(高橋ヒロムと内藤哲也の絡みをまた見たいですね、待望のヒロム復帰はいつになるか)
このマンガの見所はやはり、登場人物の各要所での台詞が実際にレスラー本人が発したものを使っている所でしょう。
細部まで一言一句同じかどうかは分かりませんが、ニュアンスはそのままです。ですから、内藤哲也というプロレスラー本人のこれまでのストーリーがこのマンガで把握できるわけですね。
実際の内藤哲也が制御不能に変貌を遂げるまでの歩みがこの新日学園第一巻で知る事ができます、単純にウィキペディア等の来歴を活字で追うよりも何倍も楽しめるかもしれません。
“そんな簡単にベルトを巻いていいのかよ”
棚橋への思いや、オカダへのジェラシー、そして自分への不甲斐なさ。
当時の内藤の心情が描かれていますから、既にプロレスをがっちりと観ている人も改めて感情を掘り起こされますし、なおかつこのコミックをきっかけに新日本プロレスを観始める人は本物の内藤哲也が実際にコミックで描かれている道筋を辿り実在するストーリーであることに驚くのではないでしょうか。
マンガだからかなり誇張してあるんでしょ?
それがどっこいほぼ大まかな流れに関しては誇張無し。実際の内藤哲也物語が誇張どころかまるでドラマの様な経験を体現してしまっているからこそまさにデスティーノ、つまりはドキュメントなのです。
“みんなオカダを求めているんだな・・”
むしろコミックで描かれる内藤哲也物語が虚実であるほうがどんなによかったか・・・、本物の内藤哲也も苦渋と焦燥に苛まれた時期はなんとも辛い時間だったわけです。
プロレス大好き少年だった男がプロレスをするのが嫌になった時期なのですから。
ちなみに、このコミックでの棚橋弘至キャラがとても良い。要所でさらっと語る台詞がいちいち良い。
“あの頃、俺に向けられたブーイングは「切り拓こうとする者」「始めて何かやろうとする者」への拒絶感”
実際のエース棚橋もプロレスにおける言語化する技量は群を抜いて長けていますが、コミック内でもそのままにキャラ配置されているのがこれまた作者の熱意と愛情を感じました。プロレスが心底好きでないと描けない部分が見え隠れし、読んでいて嬉しい気持ちにさせてもらえた気がします。
“「期待感」ってさ、持続しないんだよね。オカダや飯伏が出てきて期待が分散していってる”
棚橋弘至が築いた道のりを追いかけようとする内藤哲也、憧れと夢という努力だけでは立ち回れない現実に圧倒されていく。
運命に翻弄されまいと足掻いても、エースという座は棚橋だからこそ。気づいた頃には時既に遅く、オリジナルとは何なのかと耳を塞ぐ。ファンからのブーイングと、自身の問答にも耐え切れずに。
しかし、この経験が内藤哲也の物語を格段に面白くさせてしまうわけですね。内藤哲也が陥ったジレンマは多様な要因によるものなのですが、一番は自身のプロレス愛がトゲを生んだ事。
そのトゲが空回りして自分の身を切りつけ始める。当時のファンにはそれが伝わってしまった。
内藤自身が繊細かつ真面目(プロレスに対して)すぎたからこそ、なんとも皮肉というか切ない悲劇です。
今回の1巻はメキシコに渡る直前までです、次巻からメキシコでのロスインゴ編が始まるのでしょうか。楽しみです。次巻でも選手達の台詞に注目していきます。すなわち、私は次巻もずばり買うでしょう。
制服のボタンを一切外さずレインメーカーを放つオカダ・カズチカには思わず笑みがこぼれてしまいました。
ちなみに、あとがきとして掲載されている内藤選手のインタビューはなかなか興味深い事がいくつもあり、数ページしか無いので私としては大ボリュームでページを割いてほしかったです。
ところで、内藤選手が後ろ髪を伸ばしている理由が躍動感が出るとこのインタビューで語っています。
なるほど、確かに髪がなびくとその分だけ動いている様に錯覚しそうなのは確かです。しかも、武藤敬司選手からそう聞いた棚橋選手も後ろ髪を伸ばした、という話から自分もそうしたというエピソードが感慨深い。
髪型にも隠れたストーリーあり、ですね。
物語はいつ何時でもそこにある。
ストーリーは変わらない、たとえ舞台が変わっても。