まだ来ぬ春、舞い散るウィル・オスプレイ。
NJC2019準々決勝、本日静岡大会が熱戦の渦の中行われました。
私が今回非常に印象に残ったのはオスプレイの姿でした。
春の桜の花びらよりも早く散ってしまったオスプレイ、しかし今日のオスプレイの敗け姿にはどこか今後に繋がる何かを感じたように思います。
相手はオカダ・カズチカ、ユニットメンバー同志の対決であり、なおかつ一年ぶりの対戦でもありました。一年前に敗けた相手への雪辱戦になるはずでしたが、今回も残念な結果に。ですが一年前よりもオカダへの敗北は今回の方が断然切なさがあったように思えてなりません。。。
新日本プロレスにオスプレイを連れてきたのは何を隠そうオカダが張本人です。ケイオスへの加入もオカダの手引きがあったからこそ。
それゆえ、オスプレイにとっての対オカダ・カズチカ戦は私情も含んだものになり、観る側もリング上の二人も一味違った思いを馳せる事ができるのだと思います。
しかしです、ウィル・オスプレイは思い出も私情もそろそろ過去の物にするべき時が来たのではないでしょうか?
階級を超越した存在になる為にNEVER王者の座を掴み取ったオスプレイ、スピードを落とす事なくビルドアップにも成功し、さらには対ヘビー級用の荒技まで引っさげて順調に走り始めていました。
新年一発目からあの飯伏幸太を粉砕し、ROHのトップレスラーであるダルトン・キャッスルもなぎ倒し、今回のニュージャパンカップではスーパーヘビー級のバットラック・ファレから勝ち星をゲット。更にはスーパーサイコヘビー級のランス・アーチャーにも3カウント。
階級の境界線を曖昧にするシンボル、それこそがNEVERという名の証です。その名に今、最もふさわしいレスラーこそこのウィル・オスプレイでしょう。
この勢いのままNJC2019を制し、そしてNEVER王者としてIWGPの王者を超える。これをもってボーダーレスシンボルの完成、のはずでした。
このストーリーは夢のまた夢だったのでしょうか??こんな物語はまだ早いという事なのでしょうか・・。
そうです、まだ早すぎたのでしょう。オカダという壁を越えられなかった、それはオカダによってオスプレイの順風満帆たる物語を阻止されたということ。
見てください、この...この切ない表情。
こんなにも儚い表情を試合中に表現できるようになった選手なのです、オスプレイは。
華麗な飛び技や派手な投げ技を放つだけの選手ではもはや無いのです。
こんな表情ができる選手にはぜひとも春を迎えてほしかった。
咲き誇るのも美、舞い散るのも美。今回のオスプレイの姿にはまさに桜舞い散る花びらの如し。
試合後、顔を手で覆うオスプレイのこの姿。手で覆って見えないはずの顔の表情がなぜか見えてきませんか?
切なさの塊のような形が浮き出てくるようです。私にはうっすらと滲んで見えてしまいます。そして何よりも、そんな打ちひしがれたオスプレイの肩に手をやるオカダの振る舞いは、むしろ切なさへの追い討ちになってしまっているように感じられてなりません。
そろそろケイオスでのオカダの弟分的なイメージをきっちりと払拭するべきではないでしょうか?
オカダへの恩義、ケイオスへの帰属意識、それらを振り払ってでも次のステージへ飛び超えていく段階にあるはずです。
切なさの向こうにはどんな物語があるのか。
オスプレイの春はまだ来ない、だけど日本の季節は春だけじゃない。