(KOHARUN様が写真提供をして下さいました)
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続・後編 ~魂の観測者~
こんばんは、筆者のザ・クスノキです。
前記事(後編)からのつづき記事となっており、今回は続・後編です。
梅雨の時期を前に、BOSJ26は今だ熱戦の盛り上がりを見せています。そんなジュニアのシリーズ中、私は一人の選手にスポットライトを当て、記事を更新中です。
(KOHARUN様による提供写真)
ロッポンギ3K、YOH選手こと小松洋平その男です。
新日本プロレスの生え抜きという魂をその胸に宿し、かつてヤングライオンだった者が堂々たる獅子としてプロレスというドラマの中で物語を紡ぐ。
いかなる選手にも己の生き様が少なからずあり、その生き様をどう体現するか?いつどのターニングポイントでその生き様を自己主張に昇華させるかは選手の思考次第です。
しかし今回のテーマがまさかの四部作へと突入する事態になってしまうとは。私自身も驚きですし、焦点を絞って記事を書き続けるという作業は意外にもしんどいもの。その熱を持続させるにはある種の心の闘争でもあります。
単純なニュース速報的なサラッとした記事であればもっと更新頻度を増やせるかもしれません。試合や選手の感想をふわっと短く書き添えているだけであれば記事数ももっと増やせるでしょう。
しかし、私は新日本プロレスというエンターテイメントの詰まった宝庫を安々とネタの大量消費を繰り返す様なブログ記事にはしたくないのです。
プロレスの面白さ、楽しさを本当の意味で伝えたい、その心意になんら嘘は無く、そしてまた、この気持ちをたくさんの人達に面白がってほしいという熱をそのまま自分の言葉で創りたい。それがこの『新日本プロレスを物語る!』という私のブログです。
導入部分はこれくらいにしておき、そろそろ本記事の内容に潜っていきます。
プロレスにおいて表現とは何でしょうか?
筋肉もその一つです。強そうな技や痛そうな技もそうです。顔もそう、コスチュームもそう、そして入場曲だってプロレスの表現には欠かせない。更にはコメント、これまた大事な大事な自己アピールです。
自身で自己発信をどう実現させいくかは選手自身のそれまでの経験やバックボーンで裏打ちせさせていく必要があり、結果的にストーリーを産み出すに至る。
偶然も必然も飲み込んで、点と点が線になる。
それまでの経過した時間は一体どれくらい費やされたのでしょう?浮き沈みもありながら、結んだ線が『物語』という名の図形に形成されていく。
多角形、立方体、円錐、様々な形を成した後、次に施されるのは展開です。これがまさしく物語の進行を意味し、逆説を解くならば物語の土台があればこそ。
それが図形の形であり、物語の序章とも呼びます。
その形とは?魂の形です。
序章とは?ヤングライオンという起点です。
今回、YOH選手がコメントに使った「生え抜き」という言葉、これを元に私の『小松洋平物語シリーズ』が興されてしまったのでした。
生え抜きって?ヤングライオンとは?物語の序章??これらについては前回までの前編・中編・後編の中でがっちりと書き綴りましたのでぜひとも一読を。
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プロレスをよく知る人もそうでない人も、何かしらの感じるものが有る様に施してみました。加えて今回の続・後編記事を読んで頂けるに当り前記事までの読破が誘うは、より深くへと潜り込めるシリーズ記事であることと思います。
と、まるで自信満々に記事の出来具合を語っている様には見えますが、私の内心は不安でいっぱいです。
自分の書いた記事が本当は何の価値も無いモノであるならばどうしよう、私が私である為にその行為は万分の一にも届いていないのならばとんだ笑い者でしかない。
一体誰がこんな私の言葉を面白がってくれるというのだろう。
自信の損失。意志の喪失。精神の消失。
そして心の補完。
そうです、そうなんです、私の記事にはいつだって感情がある。自分の好きな何かを物語る時、人は誰だって感情を伴う。否応無しにね。
それが絶対的な制約ともなり得る条件としながらも、悲喜交々に自由な寄り所でもある。内々に欠けたそれらを補うように、人はいつだって臆病で脆弱なサテライトと化すのかもしれません。
だから感情を届ける、贈るのは感情を手に平いっぱいにして。
悲しいも嬉しいも、怖いも切ないも、全部花束に。
良い人に見れらたい訳じゃなく、大多数の支持が欲しいわけでも無い。だけど確固たる自信は無い、それでも自分のプロレス記事を読んでほしい、これが私の感情なのです。
↓前回までのジリーズは下記にて。
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小松洋平物語シリーズはこちら
前編⇒ ~消えない魂~
中編⇒ ~魂の所在~
後編⇒ ~魂がアドベンチャー~
プロレスの内容に入るまでが長すぎる!くどい!と感じた方は焦らないで頂けたらと思います。
お風呂やトイレの休憩タイムにまったりと、お菓子と飲み物片手にじっくりと、そんな皆様のお時間にぜひ読んでほしい。それが私のブログなのだと思います。
もちろん、たまにショート記事も載せていますのでそちらもちょっぴりのご期待を。
現在、ベストオブスーパーJr26においてYOH選手は3勝3敗中、勝ち点は6。既に勝ち点10を掴んでしまった選手が居る中、優勝決定戦の舞台に立てる可能性は絶望的かもしれません・・・。選手層が厚い為に黒星一つでも命とり、そんな過酷なシリーズであったにも関わらず3敗を期してしまう。
生え抜き対決実現の為には何としても自身の1位通過必須です。
こんな厳しい状況の中、食らいつくかの如く私がYOH選手へのスポットライトを外さないのには理由があります。前編から読んで頂けてる方には間違いなくその理由が伝わっている前提で書き進めていく事をお許し下さい。
(KOHARUN様による提供写真)
このBOSJ開幕直前にYOH選手は生え抜きというワードのほかにも、まさに物語を紡ぐにふさわしいワードを発信していました。今回の続・後編ではそのワードを絞り取りお送りします。
YOH選手が今回のジュニアの祭典で自分の戦い方の宣言を行いました、何と言ったか?
ドラゴン殺法を駆使するとの事。
ドラゴン殺法?もちろん今いちピンと来ない人にもがっちり濃厚にお伝えします。
そもそも、ドラゴンというワードには新日本プロレスに脈々と流れるまさに伝統化した系譜が存在します。
ドラゴンの系譜、こう呼ばれるそれは果たして何か?まるで冒険譚の勇者に設定される系譜の様な呼び名ですが、新日本プロレスにおいてもその設定に負けず劣らず系譜に相応しい物語があるのです。
それではドラゴンの系譜を丁寧に辿っていきましょう。
始まりは昭和の時より。
炎の飛龍こと藤波辰巳です。
均整の取れた体つき、まさにジュニア選手の理想の姿の元祖です。
長州力とのライバルストーリー、師・アントニオ猪木への世代闘争、社長と選手の兼任による苦悩。
新日本プロレス礎を築いた一人であり、ドラゴン殺法の始祖でもあります。
選手の系譜を紹介すると共に並行してドラゴン殺法の中身もご紹介。
まずはこのドラゴンスープレックス・ホールド
受ける方は一歩間違えば脳天が突き刺さる為、しっかり顎を引いておかなければなりません。それでも体が九の字にさせられ重力と体重が首にもろに来ます。首を鍛え太くしておかないと大ダメージです。
次にドラゴン・レッグロールクラッチ
いわゆる固め技であり、相手の両肩をリングにつかせる為の丸め込み技。技をかける際に綺麗な弧を描く為にはしっかりとしたブリッジをする必要があります。
試合の展開を早めたり、あるいは決着に意外性を持たせるにはもってこいの技でしょう。
そしてなんといってもこれ、ドラゴンスクリューです。
画像を見ての通り、相手の片足を掴み取ってからの回し技。受け身のテンポを間違えれば膝を壊されかねません。
回転方向と回転速度を見誤らず綺麗に廻りきる受け身をすればダメージを抑える事は可能ですが、着地の直前に相手の体重がのしかかる様な形になる場合もあり、受け身の難易度を要する技です。
この他にもドラゴンロケット、ドラゴンスリーパー、ドラゴンバックブリーカーなどがありますがここでは割愛し、ドラゴン殺法の系譜においてはひとまず上記3つを代表格とさせて頂きます。
選手の系譜に戻り、藤波辰巳からの次代をご紹介。
Natural・Born・Master、ジーニアスこと武藤敬司です。
武藤敬司とドラゴン殺法、こう来れば満場一致でドラゴンスクリューの大合唱でしょうね。
このドラゴンスクリューを更に膝殺しのスペシャル技として昇華させたのはこの武藤敬司選手と言っても過言ではなく、ドラゴンスクリューが膝を責める技としてより説得力を持たせたのも今や定説です。
要は膝殺しに流れを加えた所がセンスであり、今では当たり前の流れも誰がその流れを産み出したか。
武藤敬司です。
ドラゴンスクリュー単発の見せ方ではなく、相手の膝への低空ドロップキックを織り交ぜながらの下ごしらえ
ドラゴンスクリューで大ダメージを与えた後その先には足四の字固めでのフィニッシュ狙い
若い頃はドラゴンスープレックスもこなしていた武藤敬司選手ですが、両膝がボロボロな状態となり投げ技はほとんど不可になってしまったのちに、相手の膝責めに特化したスタイルを確立させていきました。
自分の両膝が悪いからこそ膝殺しの名手になる、いささか皮肉の様で面白いですよね。
ドラゴンの系譜はまだ途絶えません。
お待たせしました、太陽の天才児。
100年の逸材ことエース棚橋弘至です。
エース棚橋もまた、ドラゴンの系譜を継ぐ者です。ちなみに、若手時代には前述の武藤敬司選手の付き人も経験。ドラゴンの系譜にその名を連ねるべくして連ねたといった所でしょうか。
棚橋弘至もまた、ドラゴン殺法の使い手です。
ドラゴンスープレックスやドラゴン・レッグロールクラッチはしっかりと今でも使い続けており、
武藤敬司が確固たるものにした膝殺しの流れもきっちりと継承。
エース棚橋に至っては、ドラゴンスクリューのバリエーションを更に増やしたりと(武藤敬司も多数のバリエーションを披露するようになっています)、ただの単一的な継承ではありません。
(↑正調のドラゴンスクリューとは逆回転のリバース・ドラゴンスクリュー)
膝殺しのフィニッシュメニューに関しては武藤選手は足四の字固めを、エース棚橋の場合はそれでは無くこのテキサス・クローバー・ホールドを選択。
体重を乗せて角度の調節を厳しいものにしてしまえば、膝へのダメージはさることながら、相手の腰へのダメージも重大なものに。相手をエビぞりに這いつくばらせ、自分はリングに対して立ちの姿勢を誇示できますから見栄えも充分、相手の気力を断ち切るのにも説得力のある技と言えます。
唐突なテキサスクローバーホールド、ではなく、低空ドロップキックやドラゴンスクリューといった相手の下半身への責めをセットメニューとして積み重ね、その上での最終的なテキサス・クローバー・ホールド。
ドンぴしゃなタイミングを作るには、機が熟すまでの流れや繋がりを軽視してはいけません。
武藤敬司も棚橋弘至も、ドラゴン殺法とは別にそれぞれオリジナルの技はいくつも持っています。
(シャイニング・ウィザード)
(ハイ・フライフロー)
が、しかし両者共にドラゴンの系譜がもたらしたドラゴン殺法は各自の試合構成において今もなお必ず取り入れ、使い続けているのです。自分の個性を演出する為に多少の変革を試みながらも、ドラゴン殺法はその鼓動を鳴り止めてはいません。
そうそして…、このドラゴンの系譜にまたしても新たに触れようとしている者がいる。
龍は眠ることを知りません、遥かなる太古のむかしから、天空を飛翔し続ける定めにある龍の遺伝子。
なぜ途絶えないのでしょうか?なぜにその血は葬られないのでしょう?
いにしえと現代を繋ぐ混じり気の無い物語。
世代を超え、世相の変わり目にも屈せず、時代ごとに必ず受け継ぐ意思が介在するから。それゆえにドラゴンの系譜はストーリーになった、物語になったのです。
新たに継承を口にした者がいる、、誰か?それは誰でしょうか?
小松洋平ことYOHです。
ヤングライオン魂を大切に守り続けるその獅子が、次なる物語の展開を構築する為にと選び手を伸ばしたのはドラゴンの系譜でした。
もちろん見てみましょう、彼のドラゴン殺法も。
なんと綺麗なドラゴンスープレックスでしょうか。流線型ともいえる弧を描いています、YOHが使えばスターラインスープレックスと呼んでも構わないでしょう。
お見事です、ここでも綺麗な弧を浮かび上がらせるほどのブリッジ。この技はドラゴン・レッグロールクラッチ、ではなくYOH自身はファイブスター・クラッチと命名し使用しています。
そして膝殺しメニュー、YOHだってこの通り。
もはやドラゴンスクリューと低空ドロップキックはおなじみですね。
ドラゴンの系譜において膝殺しのフニッシュホールドは足四の字固め、テキサスクローバーホールドときましたが、YOHの場合はこのスター・ゲイザーです。
ネーミングがカッコよすぎる・・・。
スターゲイザーとは空を見上げる、星の観測者などといった意味合いに捉えられます。
このスターゲイザーを相手にかける時、自分の片足を絡ませてテコの原理で引っ張り上げるわけですが、その際締め上げれば締め上げる程に自身が上体を逸らす体勢に傾き、顔が上空を見上げる形になる事からこのネーミングなのかもしれません。
天空を見上げるドラゴン殺法、、、このネーミングの主人公感が凄まじい…。バックボーンには新日本プロレスの生え抜きであるというお墨付き。疑いようの無い位にドラゴンの系譜を継承する者です。
魂が天空に解放されしはこの時をもってして!
(KOHARUN様による提供写真)
ここで補足を追記して今回の記事を終幕へ踊らせましょう。
YOHが自身の技名に『スター』の文字を入れる事、そして自身のコスチュームにスターの模様をあしらうのには一応の理由があります。
まだYOHがヤングライオンだった頃、雑誌のインタビューでこんな発言を残していました。アピールポイントはどこかとの質問に対して、
「新日本伝統の黒いショートパンツですかね。僕の場合、ほかの若手と比べて一人だけエナメル素材なんですよ。僕は“自称スター”なので、パンツを含めて“きらりと光る”ところを注目してもらいたいです」
と、答えていたのです。
彼が当時使っていた自称スターという言葉。そしてきらりと光るという自己主張ポイント。小松洋平はヤングライオンを脱し海外修行を済ました今日に至るまで、自信のキャラクターメイクをしっかり繋げようとしている姿勢がこれでよく分かります。
このインタビューが2015年11月頃、ちょうどエース棚橋もこの時に小松に対してサプライズな発言を残していました。
「小松は俺以上のスターになるから」
将来有望な後輩の売り出しに一役買って出た上でのリップサービスとも取れますが、小松洋平が直系の後輩とはいえ、エース棚橋が自身を差し置いて他人を自分以上のスターと讃えるのは珍しい。
それだけ小松洋平には主人公感、スター感の気質が見え隠れしていことは間違いが無かった。
踏まえて小松はこの時の“自称スター”というワードとエース棚橋からの賛辞をきっちり具現化させているわけで、プロレスラーにおける正統な作業行程に沿った表現、つまりは物語の正当な進行として語れるわけですね。
(KOHARUN様による提供写真)
どうでしょう?YOHこと小松洋平に注目しないのは勿体ない事だと思いませんか?
追いかければストーリーの足跡が。辿る道筋は何を物語るのでしょう。
小松洋平の物語とは?
YOHが何者であるかで語るとするならば、
消えぬ魂を宿す者。
誇りを持ち続ける者。
系譜を継ぐ者。
ドラゴンの系譜よ、この先もずっとあらんことを。
プロレスにおける系譜という存在意義。魂の継承、新日本プロレスがある限り。
物語の結末はまだ先の先。天空の彼方は未だ続いていることでしょう、魂の行方を見守るかのように。
歴史のうねりの中でいつだって輝けるはず、魂は星屑に姿形を変えて。
(KOHARUN様による提供写真)
続・後編、 完。
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