気づけば雨。あの角を曲がればドラマチック交差点。
NJC2019が終わってしまった。
物語の次章の題目は『逆襲のレインメーカー、雨はやがて虹を呼ぶ』とでもなるのでしょうか?
決勝戦の観戦を終えた直後、頭の中に入り切らぬ程の感慨を詰め込まれた気分でした。
吹き消されたロマンティック(SANADA)大本命という名の裏切り。そして解説席にはドラマチックな男。
三者への感情がリング内外の枠を越え、観る側それぞれがどの視点からどうゆう風に観ても楽しめる、まさにそこはプロレスのワンダーランドだったかのようです。
オカダのハッピー感に酔いしれた人も居たでしょう、反対にSANADAの物語が頓挫した事に落胆した人も居て、解説席へ向かう柴田への想いを改めて起こした人も居たはず。私はそのどれもです。
いえもしかしたら、私だけじゃなくほとんどの人が今回の決勝戦でその三者三様を同時に味わえたのではないでしょうか。
オカダの熱烈なファンも、SANADAを推しているファンも、そして未だに柴田を応援し続けているファンも、その誰もが自分のスタンスを忘れて感情を複雑に右往左往させてしまった。これがプロレスというドキュメントなのです。
決勝戦が始まる直前、ザ・レスラーが現れ解説にその身を置きました。
リングへの復帰はほぼ絶望的となりながらもLA道場のヘッドコーチに就任、まさにプロレスとは生き様だと体現する柴田勝頼。
二年前のNJC決勝戦を優勝した者が解説席からその視線を向け、リング上には二年前絶対王者として相対した者が居る。試合後にはその両者が時を越え、あの悲劇を背にしながらも言葉を交わす。
笑顔と涙。プロレスの時間軸は決して途絶えないんだと痛感しました。
柴田もオカダもあの時とは立場が大きく変わってしまいましたが、プロレスへの向き合い方は何も変わらないのかもしれません。
この一連のドラマチックが交差したシチュエーションには本当に心動かされました。感動というニュアンスではなく、もっと複雑な何かを宿す言葉でなければ表現できない程に。
二年前の優勝者と当時の絶対王者が繰り広げたあの激闘。
あれがあったからこそドラマチックな今がある、だけどあれが無ければザ・レスラー柴田は解説席ではなくリング上に立っていたかもしれない。嬉しさと淋しさ、どちらも嘘じゃないからこそ複雑すぎるわけです。
過去は振り返らない、現状を疑わない、未来は選べる。
そんなわけがない。残念ながらそれはない。
物語はいつだってそれを許してくれないからこそ展開を広げてゆけるのです。過去を悔やみ、現実に迷う。未来を拒否したくなることだってあるはず。それでもストーリーを進めなくちゃいけない、だから感情が産まれる。物語は産声の連続なのです。
柴田勝頼に傾倒しすぎましたね、話をリング上に軌道修正します。(今後の柴田勝頼の動向に目を離さず、またそのうちザ・レスラーの物語を改めて書きたいと考えています)
SANADA....、ロマンティックの続きが頓挫してしまいましたね。
二度目ですよ、二度目です。オカダの前に倒れるSANADAの姿は。
試合の終盤、今でも何度も見たことのあるオカダの黄金ルーティーン。
ツームストン、レインメーカー、スクリューパイル式ツームストン、そしてレインメーカー。
この流れが始まる僅か1秒にも満たない瞬間に、頭の中で呟いてしまいます。“始まった・・・”と。
そう、いつものあの流れが始まる。見慣れても見慣れても、あのジ・エンド感は薄まることを知らずに。どうしてなのでしょうか。
SANADA、お願いだから止めてくれこのルーティンを。物語を巻き返す為の最短の言葉も見つからないままに。漏れる溜息をなんとか噛み殺しながら。
SANADAのスカルエンドは追い込んだはず、オカダのうつろう目の焦点は一体何を見ていたのか。
誰か教えて下さい、オカダのゾンビタイムは一体何度訪れればその時を止めるのか?沈んでも沈んでも起きあがってくるあのサバイバル時間。
せめて回数制限を設けてほしい。そうでなければ永遠にも等しいその時間にもはや感情は無に還ってしまいます。
オカダのツームストンが始まると、私は無我の境地に誘われてしまいそうでした。
SANADAの物語はここで一旦おあずけです。私には分かりません、本当にこれでよかったのでしょうか?
物語は停滞しないかと不安がるのは私だけでしょうか。本当はもっとSANADAの今回を書きたかったのですが、ダメです。書きようがありません。とにかくロマンティックの光は一度消えます。
タッグ戦線に戻るのか、シングルプレーヤーとしてもう一度機を伺うのか。
オカダはベルトを取ったらSANADAともう一度やると宣言していましたね、それまでSANADAの物語は灯りを保つとは言い難い。
最良のシチュエーションで掴めなかった様を見た後に、またすぐ挑戦権を得られるというストーリーほど感情移入の難しいものはありません。
レインメーカーを撃ち込まれたSANADAは起き上がってはきませんでした。主人公は時代が選ぶのか、それとも物語に選ばれるのか。
SANADAの結末はまだ先にあるようです。主人公になるべく男がまた一人ここに。
scull(NOT)end。
さあ、また次の交差点を目指すしかありません。
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