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筆者のザ・クスノキです。
前回の記事から引き続き『中西学選手』の記事をみっちりと書き綴っております。
前々回の記事では筆者である私自身の中西学へのメモリーを記し、その次の記事では中西学の引退試合について熱量を存分に打ち込みました。まだ未読の方は是非、前々回記事から前回記事の順にお目を通して頂き、そして今回の記事へと。
じっくりと中西学という男のシリーズを楽しんでもらえたら嬉しい限りです。
さて、プロレスというのはある瞬間を重ね合わせたり、繋がったりしたその時こそが一つのプロレス的幸福論だったりするのではないでしょうか。
筆者のザ・クスノキがまたしても何を言っているんだと仰る読者の方が一人でも居られるとしたら、それは私にとって幸いに尽きる事でしかありません。なぜならその方は今までの私の執筆記事を少なからず読んでくれたという証明でもあるからです。
話が脱線しましたね、私自身の幸福論はどうだっていいのです。
そうです、プロレスには“あの時、そしてこの時”という哀愁にも似たセンチメンタルシーンが数多く存在します。プロレス時間軸と呼ばれる物語の橋渡しとも呼ぶべきその現象はプロレスをフルに楽しむにあたって必要不可欠であり、絶対に見逃せないストーリーシグナルを回収すべく命題が絶えず起こります。
でも間違いなくそれこそが私達観る者へのご褒美だとも解釈できるでしょう。
大袈裟ですか?
いえいえ、そんな訳がありません。
これぞプロレスとういうジャンルが長い時間の中で途絶えない最たる理由とも言ってしまえる程。物語には時間軸の平行線と放物線が存在する為、やはり観測時間を長期的な視野で捉えなけらばなりません。
プロレスは観るのを止めてしまえばそれだけ損をします。観る側にも忍耐を強いられるエンターテイメント性をどう捉えるかは強制はできませんが、少なからず受け身を取らなければならないのは選手だけではないのです。
知っていましたか?実の所は観る側の私達も受け身を取り続けるべき要素があるとう事を。
今回の中西学の引退においてもまさに「あの時、そしてこの時」のワンシーンが起きました。
重なったのです、とあるワンシーンが。
それは引退試合の試合終了直後の場面にありました。
リング上で横たわっていた中西選手はなんとか立ち上がろうとしますが、肉体のダメージが簡単にはそうはさせてくれません。しかし、観客も見送る選手達も中西選手の立ち上がる姿をこの目に焼き付けんとばかりに注視しています。
本来であれば、自身の手と足だけで立ち上がるのが理想だったのでしょう。しかしもう引退する身、体が思うように動かなくなってしまった現実と戦い続けた果ての決断だったわけですから、なかなか理想の立ち姿とはいきません。
でもだからこそ、その瞬間が産まれたのです。
中西選手は盟友である永田選手の体に抱き着き、しがみつきながらの立ち上がり姿でした。
この時の試合直後に永田選手に抱きついた姿、私の中で“あの時”のシーンとじんわりと重なったのです。
あの時・・・、そうそれは約11年前まで遡ることになります。時は2009年5月に行われたIWGP選手権試合、場所は後楽園ホールでした。ちなみに中西選手が引退した今回の場所も後楽園ホールだったのです。
何度かベルトへの挑戦は経験していたにも関わらず、一度もIWGPヘビー級のチャンピオンベルトをその腰に巻いていなかった中西学の最初で最後のシングルベルト戴冠の日でもありました。
まさに悲願の王座戴冠。
まだ肉体的にも精神的にも衰え知らずのバチバチの中西学だった頃。
あの時も、試合直後に中西選手は永田選手に抱きついたのです。永田選手も盟友のやっとの夢の到達にまるでわが身の如く喜びを感じていたはず。
ワンシーン。
2009年5月にあったあの出来事。
40代にして最初で最後となったチャンピオンベルトを撒いたあの日。
あの時の盟友・永田選手に抱きついて喜びを分かち合った中西選手の姿、そしてラストマッチを終えたこの時に同じように永田選手に抱きつく姿。
同じ抱きつく姿でも中西選手の頭の高さが違う所にも哀愁が感じられます。
11年前とは違い立つのがやっと。永田選手にしがみつくのがやっと。それでもこのシーンはしっかりと重なりリンクしました。
約11年のプロレス時間軸が繋いだ“あの時、そしてこの時”が重なった瞬間。
このほんの一瞬、たったのワンシーンがプロレス的幸福論となるわけですね。
プロレスは観続けるという観測行為が定期的に実を結ばせます。
もちろん、これは中西学というプロレスラーが魅力的だったからこその実の大きさ。
心にしみ渡るこの感覚はいつ感じても良いものですね。
中西学を観続けられて本当によかった。。いえ、これからも観続けます。
まだですよ、次回の記事でもまだまだ中西学を書き綴ります。
次回は、今回の記事でも触れた盟友の存在を軸にして「第三世代とは何なのか?」をお送りします。
◆ここまで読んで下さり嬉しいです。
次回記事更新にて、また覗きに来て下さいね。
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※なぜこんなにも中西学に私の思い入れが強いか、その理由は前記事で説明しております! ↓↓↓
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