こんにちは筆者のザ・クスノキです。
遂に開幕しました。日本の“真夏”がまさか海外で始まる事そのものに予想外でしたが、会場の熱気は想定内。間違いなく盛り上がらないわけはありません。真夏の風物詩はもはや日本だけのものではないのでしょう。
早速ですが、異分子としてこのG1に投入されたともいえるKENTA選手。KENTA対飯伏幸太の試合を観た直後に私が感じたのは何やら不思議な安堵感。霧がかかったあの不安な面持ちが晴れていくかのような感覚。それはKENTAから解放感が見て取れたからだと思います。
ただし先に言っておくとすれば、正直な所、以前のノアでエースを張っていた全盛期の頃に比べれば動きの間隔が少し低速になってしまっているのは否めません。
肩の大きな怪我に苦しみ、体重も以前よりはグッドシェイプを維持できていない要因もあるでしょう。今回の試合での動きを観れば、KENTA選手が本来光っていた技と技の間のハイスピーディな流れは衰えていたのは事実です。
ですが、プロレスラーは衰えや老化の代わりに時間の経過と自身の経験によりレスラーとしてのバックボーンを養っていき、試合中の自身が醸し出す雰囲気(表情だったり間の使い方だったり)でお客さんに何かしらを伝える事ができる。
それは言葉にできない何かかもしれず、それこそがプロレスが体現する生き様というドラマでもあるのです。
ちなみに、その生き様というワードの塊のような男も今日のKENTA選手を会場の端から見ていました。
選手としての復帰は未だ叶わない状態にありながら、腕組み仁立ちするその佇まいだけで生き様を表現してしまう柴田勝頼という男。
物語はリング上だけで自己完結するものではなく、この様にリング外との相互作用によって繋がり、彩られ、展開されていく。
柴田勝頼も今のKENTAを確かめに来た、たったそれだけの一場面がしかもリング外に加えられるだけでプロレスの横幅が増してしまいます。しかしこれは見せかけのトリックではなく、しっかりと構築された積み重ねによるもの。試合自体はいつだってどこだって行えおうと思えば行えますが、リング外のこういった素敵な絵図を昨日今日で安々と作れるものじゃありません。
柴田の時間経過とKENTAの時間経過、そしてそれぞれの運命と状況の移り変わりが呼び寄せたものであるからです。容易いものじゃない、これに尽きるでしょうね。
KENTAの解放感がそこには充満していました。
ゴングと同時に緊張は高まりつつも、技を受け技を繰り出すうちに、少しづつKENTAの雰囲気から何かまとわりついていた不安な影が晴れていくかの様。
KENTA選手の肉体も精神も、以前よりは脆さが蔓延ってしまっていたのかもしれません。それでも新天地をこのG1の舞台に求め戦う決意がしっかりとあったはず。
だからこそ、体の衰えや技の綺麗さとか、そこじゃない。今KENTAにとって大事なのはそこじゃない。
試合の終盤には自身を縛っていた心のモヤが薄れていく様相を見せ、試合直後の“俺はこのプロレスに還ってきたんだ”といわんばかりの感情の放出は観てるこちら側にもダイレクトに伝わってきたのです。
私はこのG1でもやっぱり心のどこかで新日本の生え抜き選手が優勝してほしいと思っています、それはたぶん絶対に絶えない私の中にある感情です。ですが、このKENTA選手がリング上で魅せた解放感そのものにはなぜか嬉しい気持ちを隠せません。感じたのです、1人の人間の解放感という純粋な喜びを。
遠回りだとか無駄だとか、そういう事では絶対に無くって、KENTA選手の物語としてはWWEでの挫折が最高のバックボーンになってしまった。
彼が見せる表情も、彼が吐くコメントも、彼が発する雰囲気も全てその苦さからの脱却、前進、そして解放という完璧に近いストーリー仕立てとしての表現に転換できるわけですから、KENTA選手が今プロレスをやる上では最高のタイミングです。
肝心の自分のプロレスができなかった・・・
WWEという世界トップのプロレスエンターテイメント団体へ挑戦したはずが、自分の中にある大事な部分を失った時、それはどんな苦悩と後悔に苛まれるのか。
スケールは違うかもしれませんが、私達の日常ではよくある心の起伏です。肝心のモノを失ったり、一番大事なモノを置き去りにしてしまったり、人は目の前の大きさに圧倒されればされるほどそれを乗り越えようとする時必ずしも無傷では済みません。乗り越えられる保証などどこにも無いのに、無我夢中でやっていくうちに気づけば失ったモノの大きさも肥大する有様。
でも、取り戻せないなんて事は無い。
その為にまず何が必要か?
解放です。
自分で自分を救済するしかない。
他人も必要で環境も必要で、揃えなきゃいけない要素はいくつかあったとしても、落としどころを見極めるのは己であり、やるべき処置は自身の解放でしかない。
やっぱり良いですね、プロレス。
苦しんだり後悔したり、不安が消えなかったり。
そんな人生でもいつかの日、解放感で満たされる瞬間が訪れてほしい。
プロレスを楽しめる限りは、なんとか生き抜きましょう。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。
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